笹川同学会日本支部主催の第1回全国記念学術総会が開催されました
2018/10/05
笹川医学奨学金進修生同学会日本支部主催による第1回全国記念学術総会が、2018年9月30日午後、学士会館において開催されました。本総会は2006年の日本支部発足(笹川医学奨学金進修生同学会在日経験者連絡会として発足)以来はじめての日本全国大会であり、日本に在留することが確認できている第39期までの笹川同学生および今年度来日した第40期笹川医学奨学金制度の研究者が一堂に会したものです。
総会の冒頭、趙松吉日本支部会長から第1回学術総会の開催目的と学術テーマが紹介されました。本総会の目的は、笹川同学生が本奨学金制度から受けた恩恵を医学・医療分野での活動を通じて日中両国に還元することであり、この目的に沿い「日本の医療現場に携わっている医師・看護師・研究者からの生の声」を第一回学術総会のテーマとして選定されたとのことでした。次いで趙群笹川同学会理事長と日本財団の吉倉和宏常務理事からご挨拶がありました。趙理事長からは、笹川同学会が国際的に広がりを見せており来年は初めて欧米支部での開催を予定していること、吉倉常務理事からは、笹川陽平会長のお言葉(中国の方には知日派になって欲しい)を伝えるとともに、今回の支部総会での演題内容(介護や終末期医療)は日本財団として強い関心を持ち取り組んでいるテーマであることなどを話されました。
趙松吉同学会日本支部会長 趙群同学会理事長 吉倉和宏日本財団常務理事
学術発表は6名の講師により行われましたが、皆さん全員本当に流暢な日本語での発表、質疑応答でした。内3名のご講演を簡単にご紹介します。40代研修医(30期生)からは日本の医師資格を取り、僻地を含め複数施設で研修中とのこと。研修で感じたことは中国に比べ日本の医療では地域格差が少なく連携が良好、一方転勤が多いなどを挙げられました。専門医を目指し研鑽されています。また、国際的に活躍されている医師(25期生、日本の医師資格保有)は、上海での日本人向けのクリニック経験、その後の日本での訪日外国人向けの国際クリニックでの豊富な経験から、今後進む医療ツーリズムを含むグローバル化に対し、患者との言葉(母国語以外でも)でのコミュニケーションが極めて重要であり、その解決には医療通訳や医療コーディネータの育成が喫緊の課題である点を強調されていました。
さらに、看護学准教授(18期生)からは高齢者ケアに関するアンケート調査(2015年)の研究について発表されました。地域高齢者の最後の迎え方に関する思いを調査した結果、高齢者の終末期医療に関するニーズに日中間に共通点と相違点が見いだされ、死生観や社会的・文化的要素を踏まえた地域包括的なケアシステムの確立が必要であることを力説されました。以上の3講演以外では緑内障の病態と治療、在宅医療での日中間の違い、福島における放射線による先端癌医療について講演がありました。いずれの発表も関心の深いテーマを扱ったものでした。
講演の様子
懇親会では、趙松吉支部会長、安達勇日中医学協会副会長、孫連坤吉林大学基礎医学院院長より心温まるご挨拶を頂きました。
趙松吉支部長 安達勇日中医学協会副会長 孫連坤吉林大学基礎医学院長
いよいよ荒天になって、懇親会は1時間ほどで中締めとなりましたが、笹川同学生は皆さん活発に情報交換し、また昔話をされていたようで笑いの絶えない和やかな懇親会でした。趙松吉支部長が、日本支部が一丸となって日中医学交流の懸け橋になるという意気込みが十分伝わった第1回記念総会でした。
懇親会の様子