【日中ハイエンド医学フォーラム~2022年大健康フォーラム】を開催しました
2022/08/24
8月20日、長富宮飯店(北京)において、日中笹川医学奨学金制度研究者OB会(笹川同学会)主催、日中医学協会共催による「日中ハイエンド医学フォーラム」がハイブリッド会議形式で開催され、会場には北京在住の笹川同学会会員を中心に30名、オンラインでは約100名が参加しました。
本フォーラムは、当協会と笹川同学会の共同事業で、同学会会員がコーディネーターとなり、中国の医療衛生政策の重点課題をテーマに日中両国の専門家の講演と意見交換を通じて中国における課題解決に繋げる取り組みで、今回で7回目の開催になります。
【日中ハイエンド医学フォーラム】 ※過去開催したフォーラムもブログで紹介しています。青字をクリックしてご覧ください。 第1回 生活習慣病の現状と対策(2018年7月 於;新疆ウイグル自治区ウルムチ市) 第2回 がん診断治療(2018年8月 於;遼寧省瀋陽市) 第3回 がん対策(2019年9月 於;遼寧省瀋陽市) 第4回 中日高齢者対策(2019年11月 於;四川省成都市) 第5回 中医薬の医療改革における役割(2020年10月 於;北京市) 第6回 大健康(2021年10月 於;北京市) |
今回は、昨年に引続き「大健康」をテーマに開催しました。
「大健康(Comprehensive Health)」とは、2016年に中国が打ち出した「“健康中国2030”計画要綱」の理念であり、健康生活の普及、質の高い医療サービスの提供、健康に影響する環境問題への対応、健康産業の発展、健康にかかわる法の整備、健康リテラシーの向上を通じて国民健康づくりを目指す国家戦略の一つに位置付けられるものです。
開催に先立ち、福田 夏樹 在中国日本国大使館一等書記官から、同学会活動への支持とフォーラムへの期待について心温まるご祝辞を頂きました。
フォーラムでは、日本側専門家3名、中国側専門家(笹川同学会会員)3名にご講演頂きました。
■講 演(プログラム順)
1)安井正人 慶應義塾大学医学部薬理学教授
「水と健康―アルツハイマーとの関連について」
細胞内に水を取込む際に重要な役割を演じるアクアポリンという分子の、主に中枢神経系での働きについて紹介されました。また、将来的な臨床への応用、新たな治療法の確立に向けた可能性についても紹介されました。
2)韓 晶岩 北京大学基礎医学院中西医結合教室教授(第9期生)
「微小血管の滲出に対する中医学の理論とメカニズム」
微小血管透過性亢進メカニズムを中医学の観点から説明し、その科学的根拠について併せて紹介されました。
3)細井孝之 医療法人財団健康院理事長、健康院クリニック院長
「日本における健診について」
高齢化社会において健康寿命を延ばすための取組や高齢者の健診がメタボからフレイルにシフトしている現状を紹介されました。
4)張 亨 北京頤康医療科技有限公司総経理(第10期生)
「インターネットによる慢性疾患管理プラットフォームについて」
“健康中国2030”の目標の一つである慢性疾患死亡率の低下に向けた取り組みを“遠隔診療”、“AI”、“ビックデータ解析”といった技術を通じて実施している事例を紹介されました。
5)友川 幸 信州大学学術研究院(教育学系)スポーツ科学教育グループ(学校保健)准教授
「日本の学校保健の特徴と学校における感染症対策」
日本の学校保健の特徴、学校における感染症対策、さらにはSDGsに資する日本型学校保健の課題と発展可能性についてのグローバルな取り組みを紹介されました。
6)馬 迎華 北京大学児童青少年衛生研究所副所長(第23期生・第41期生<共同研究コース>)
「COVID-19予防対策を機に、健康的な学校生活作りを推進」
「学校は健康促進にとって大切な場所」というコンセプトに基づき、学校生活における健康推進能力開発の仕組作りの事例について、感染症の分野を中心に紹介されました。
今回のフォーラムで取上げられたアルツハイマー、健康寿命、健康促進を高める場としての学校の在り方といったテーマが、今後の健康政策に反映され、誰もが望む国民の健康につながっていくことが期待されます。
会場参加者
(一列目中央右側:福田 夏樹 在中国日本国大使館一等書記官)