第8期日中消化器内視鏡臨床診断治療・病理合同研修プロジェクトが実施されました
2024/05/14
第8期研修は、2019年以降、新型コロナウィルス感染症パンデミックの影響で延期されていましたが、本年、約4年ぶりに実施されました。日中消化器内視鏡臨床診断治療・病理合同研修プロジェクトは、中国の消化器早期癌診断治療の向上を目的として、中国の6つの病院(※)から内視鏡医と病理医をペアで招聘し、日本の病院で消化器癌の早期診断治療の理念と実践について学んでもらう研修を行っています。中国研修医12名は、今年1月31日に来日し、約1か月の研修を受けました。 (※)北京大学第一医院、首都医科大学附属北京友誼医院、山東大学第二医院、新疆ウイグル自治区人民医院、南京大学医学院附属鼓楼医院、華中科技大学同済医学院附属協和医院
◆2月1日(木)、2日(金)集中講義
日本の消化器癌に係る病理診断学、内視鏡診断学について体系的に学ぶことができるように、6名の専門家による集中講義が行われました。研修医へのアンケートでは、その後の3週間にわたる施設研修での実践に大いに役立ったとの回答でした。
講義「病理診断学の概要」
◆2月5日(月)~2月27日(火)施設研修
研修医12名は、内視鏡医と病理医がペアで、国立がん研究センター東病院、がん研究会有明病院、東京大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、慶應義塾大学病院、静岡県立静岡がんセンターで研修を受けました。
◆2月21日(水)ハンズオン研修(内視鏡医対象)
内視鏡医6名は、午前中にデジタルシミュレーターや模型を使っての自主練習を行い、午後は技術レベルごとに班に分かれ、日本人講師3名によるESDトレーニングを受けました。レベルに応じたテクニックや病変へのアプローチ法を学ぶことができました。
ハンズオン研修
◆2月28日(水)病理診断研修
病理医6名が事前に回答した診断結果をもとに、八尾隆史 順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学主任教授のスライドと解説を通して、診断プロセスを学びました。
◆2月28日(水)研修報告会・修了式・歓送会
本プロジェクト中国側主催団体である、中国国家衛生健康委員会国際交流センター・王健副センター長より、第1期~7期研修医の帰国後の研修成果及び中国での展開について、研修医派遣病院では内視鏡科と病理科での消化器早期癌の連携診療を推進し、基層医療機関の医師を対象とする消化器内視鏡と病理の連携診断研修を行い、早期消化器癌の診断率向上に寄与しているとの報告がありました。 王健 副センター長の報告
続いて、内視鏡医と病理医がペアで、各研修施設で学んだ研修成果を発表しました。内視鏡医と病理医が連携して早期消化器癌の診断・治療を行う重要性を学ぶことができ、帰国後も学んだ経験を多くの内視鏡医・病理医と共有し、中国の早期消化器癌発見につなげたいとの報告がありました。日本の指導教官からは、中国人研修医の視点や洞察が、日本人医師らとの議論を豊かにし、多様性を高めてくれ、グローバルな視野を広げてくれたとの感想が寄せられました。
研修医の成果発表
1か月の研修を終えた研修医は、晴れ晴れとした表情で帰国の途に就きました。今後も研修医と日本の指導教官との交流が継続され、中国での早期消化器癌の診断治療が更にレベルアップすることを期待します。