成都・都江堰市医療センターの医療支援活動を視察しました
2018/11/13
笹川医学奨学金進修生同学会(笹川同学会)は、事業の一環として、中国国内で医療支援活動を行っています。今回は、日中医学協会として四川大学華西病院皮膚性病科の冉玉平教授(4期生)が支援する都江堰市医療センター皮膚科を視察しました。
都江堰市医療センターは四川省成都から高速道路で1時間ほどの距離にあり、1939年設立の中国三級乙、病床数800床程度の大きな総合病院です。約7万人の死者を出した2008年の四川大地震では、多くの怪我人や病人の救命や治療に当たり、病院自体も損傷したため改築されたとのことでした。今回訪問した皮膚科には、黄静江副主任医師を主任とする医師9名、看護師4名が所属しています。なお、黄静江主任は冉玉平教授の愛弟子だそうです。皮膚科の会議室には、四川大学華西病院皮膚性病科との診療科連携を証明するプレートが誇らしげに飾られていました。
陳昌礼副院長の挨拶
陳昌礼副院長の挨拶、笹川同学会からの顕微鏡の贈呈につづき、カンファレンスが始まりました。カンファレンスではまず冉玉平教授が当センターでの小児皮膚疾患患者の診断と治療についてレクチャーがあり、また黄静江主任は当皮膚科の歴史、現在の診療体制や抱える課題(検査診断のレベルアップ、研究の促進)について説明されました。続いて3名の若手の医師から症例報告がなされました。それぞれの症例発表について冉玉平教授から治療方針への指導がなされ、さらにプレゼンテーション資料の構成についても的確にアドバイスがされていました。
カンファレンス終了後、皮膚科の検査室・治療室を案内して下さいました。ちょうど冉玉平教授が治療され、現在は完治している子供達が母親と共に診察室を訪れていました。一方で唇の腫脹した生後3か月の赤ん坊が急患として来ており、冉玉平教授がその場で医師やご両親に的確な検査指示を出されていました。廊下に出ると冉玉平教授が沢山の患者さんや親御さんに囲われて話をされており、日本の病院風景とは少し違ったものでした。今回の視察から、笹川同学会による地域医療支援が、冉玉平教授と黄静江主任の関係性を踏まえてここ成都―都江堰においては非常にうまく行っており、1対1(病院対病院)の地域支援の良いモデルになると考えられました。このような支援が他の地域にも広がることを期待します。